温泉を選ぶ時には泉質を見る方も多いと思いますが、もう一つ注目して頂きたいのが「pH値（ペーハー）」です。日本全国にある温泉は10種類の泉質に分けられていますが、同じ泉質でもpH値の違いで肌への効果が変わります。温泉のpH値は温泉成分表に記載されているので、泉質と合わせてチェックしてみてください。

pH値とは

温泉に掲示されている成分分析表には必ずpH値が記載されています。pHとは水溶液中に含まれる水素イオンの濃度を表すもの。0から14までの数値に分けられ、数の高さによって「酸性・中性・アルカリ性」に区分されています。美肌や健康を実現するために重要な数値で、pH値が小さいと酸性、大きいとアルカリ性、pH7前後は中性です。

環境省によって鉱泉の液性湧出時のpH値により次のとおり分類されています。「酸性pH3未満」「弱酸性pH3以上6未」「中性pH6以上7.5未満」「弱アルカリ性pH7.5以上8.5未満」「アルカリ性pH8.5以上」。分析表に記載されているpH値をみれば温泉にどのような効果があるかが分かります。

pH値と泉質の関係は？

温泉の効果効能を確認する際には、泉質だけではなくpH値も重要になります。泉質とpH値の掛け算で効能の強さが異なるのです。そして、同じ泉質のお湯でもpH値の数値により、適応症も違いが出てきます。

アルカリ性の温泉【pH7.5以上】

アルカリ性のお湯は「美人の湯」や「美肌の湯」として女性の人気が高い温泉です。特徴は、トロトロとしていて肌にかけると少しヌルヌルした感覚があります。クレンジング効果があり、肌の油分や脂汚れを落として肌を滑らかに柔らかく整えてくれます。

日本の二大高アルカリ性温泉は、埼玉県都幾川温泉と神奈川県飯山温泉で、pH値は共に11.3です。「美肌」「神経痛」「関節痛」「冷え性」「疲労回復」などに効果があるといわれています。

中性の温泉【pH6以上7.5未満】

中性は日本で最も多いとされているお湯です。肌への刺激が少なく優しいのが特徴。子どもや高齢者、肌が弱い方でも安心して入浴できます。日本の水道水や一般家庭のお風呂も中性が多いです。

酸性の温泉【pH6未満】

酸性は少し肌がピリピリするお湯です。殺菌効果やピーリング効果が高いのが特徴。古い角質を溶かしてくれるので、入浴後は肌がつるつるになります。古い角質が除かれた新しい皮膚に刺激を与え、新陳代謝を促して自然治癒力向上を助けてくれます。殺菌力が高いので、水虫などの皮膚病にも効果が高いといわれています。

pH値が低い、強酸性の温泉のトップは秋田県玉川温泉のpH1.2。次いで、山形県蔵王温泉と群馬県草津温泉が共にpH1.6で第2位です。酸性温泉は皮膚病のほか、リウマチや高血圧などにも効果があるといわれています。酸性のお湯は刺激が強いので、子どもや敏感肌の方は入浴を控えた方がよいかもしれません。

酸性・アルカリ性の温泉に入るときの注意点とは

酸性やアルカリ性の温泉は、効能も高いですがその分肌への刺激も強くなります。とくに強酸性・強アルカリ性は肌の弱い人は肌荒れを起こすことがあるので注意が必要です。そこで、酸性・アルカリ性のお湯に入る時の具体的な注意点をご紹介します。

アルカリ性温泉の注意点

アルカリ性は皮脂の汚れや油分を落とすクレンジング効果がありますが、pH値の高い強アルカリ性は油分を落としすぎてしまう場合があります。温泉に入るだけで汚れを落とすことができるため、入浴前にあまり入念に体を洗いすぎないのがおすすめです。

そして、入浴後温泉から上がる時にはシャワーなどで軽く洗い流してください。油分が取れて肌は無防備な状態。乾燥につながるので、湯上りは化粧水やクリームでしっかり保湿を行うことが重要です。

酸性温泉の注意点

酸性のお湯はとても刺激が強く、酸性泉で有名な群馬の草津温泉では、1円玉を1週間温泉につけると溶けてしまうほどといわれます。殺菌作用は非常に強く効能もとても高いのですが、その分肌のダメージになってしまう場合があります。強酸性のお湯に入る前は、石鹸などで体を洗わずに入浴してください。

角質を取ってしまうと、酸性の刺激に負けて肌荒れする可能性があるからです。お風呂から上がる時は、シャワーなどで付着している温泉成分を流してなるべく残さないようにしてください。また、酸性の温泉は湯あたりしやすいともいわれます。あまり長湯をしないようにしましょう。

自分に合った温泉を見つけよう！

温泉を選ぶ時や入る時は、泉質だけではなくpH値もチェックしてみてください。pH値が高ければアルカリ性温泉で、pHが低いと酸性温泉です。アルカリ性のお湯はトロッとした肌ざわりで皮脂を溶かしてくれる効果が、酸性のお湯には殺菌効果や角質を落とすピーリング効果が期待できます。体質や体調に合わせて選んだり、泉質やpH値の異なる温泉を比べてみたり、気分や体に合った温泉を探してみてください。

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